「すべての人がストレスなく外食できる世界へ。味覚AI開発や給食の支援にも意欲」代表・田ヶ原のインタビュー動画が公開

東京商工会議所豊島支部によるCANEAT代表・田ヶ原へのインタビュー動画が、としまNPO推進協議会の「えんチャンネル」に掲載されています。第2回としまビジネスプランアワードで審査員奨励賞を頂いたご縁で出演し、サービス内容、起業のきっかけ、これまでのキャリアの生かし方、仕事へのこだわり、これからのビジョンなど、多岐にわたってお話ししました。

 

非常に充実した内容になっておりますので、食に関わるビジネスや豊島区での起業に興味のある方など、多くの方にご覧いただければ幸いです。

※以下、内容を書き起こした記事です。

 

食物アレルギーがある人の外食を支援する事業に挑戦中

━━事業内容は?

食物アレルギーのある方が外食をストレスなく楽しめるようにするサービスやシステムを開発・運営しています。

 

食べられない物や好きなもの・苦手なものを友達や飲食店にシェアできる「CAN EAT 」、顧客のアレルギー情報を効率的に収集・管理できる「アレルギーヒアリングシステム」、メニューごとの原材料やアレルギー情報を正確かつわかりやすく表示する「アレルギー表作成代行サービス」。この三つが主要な事業です。

 

事業考案のきっかけは母の米アレルギー

━━食物アレルギーに関する事業をはじめようと思ったきっかけは?

2015年に母が突然米アレルギーになり、外食がしづらくなってしまったことが最初のきっかけです。米アレルギーは非常に珍しいアレルギーなので、お店で説明するのがとても大変でした。キッチンの人やホールのマネージャーなどが詳しく聞きに来てくださるのですが、うしろめたいといいますか、迷惑をかけて申し訳ないなあという気持ちになってしまって……。アレルギーのある人でもストレスなく食事を楽しめたらいいなと考えました。

新規事業の立ち上げに携わり、食のパーソナライズに興味を抱く

━━これまでのキャリアはどう生かされているか

起業する前は、印刷会社で新規事業の立ち上げに携わっていました。3Dプリンターに関わるお仕事をしていたのですが、海外では3Dプリンターで食べ物を作る技術の研究が始まっていることを知り、非常に興味を持ちました。

 

たとえば「自分にぴったり合った栄養素が組み合わさった食べ物が出ててくる」「タンパク質の構造を変えて小麦アレルギーを発症しない小麦を作る」といった内容です。とても夢があっていいなと思い、現在の活動にもつながっています。

 

最終的にはCAN EATでも、アレルギーに対応するだけでなく、食事がいろんな人にパーソナライズされた状態で自動で提供されるところまでめざしたいです。

 

 

ビジネスコンテストで手応えを感じ、起業を決意

━━起業にいたった経緯は?

最初は企業の新規事業の枠組みの中でやろうと思っていたので、自分が起業するとは思ってもみませんでした。でも、いろいろなビジネスコンテストに出て発表する中で、やろうとしている事業が人々や社会から求められていることを実感しました。会社の枠でできるならそれに越したことはありませんが、当時の状況で実現するのは難しそうだとわかり、起業して自分の力でやってみることに決めました。

としまビジネスプランアワードでの新しい出会い

━━としまビジネスプランアワードに参加してよかったことは?

賀詞交換会などにお招きいただき、人脈を作るきっかけになったことです。もともと人脈が少なく、営業先を見つけるのが難しかったのですが、審査員の方々も含め、関係者のみなさんから手厚くサポートをしていだきました。いろいろな方に紹介してもらえたので助かりました。

 

さまざまなホテルやレストランに伺うなかで、「豊島区は結びつきが強いなあ」という印象を持ちました。「豊島区に認められたんだったら」と話をしっかり聞いてくださる方もいらっしゃいましたね。

 

地道な発信の甲斐があり、メディアから声がかかるように

━━さまざまなメディアに取り上げられているが、スタートアップのプロモーションの秘訣は?

東京都のビジネスプランコンテストに出場した際に、PR会社の配信システムの無料チケットをもらいました。それをしっかり活用して、一ヶ月に一回は必ずプレスリリースを配信しています。「アレルギー 外食」で検索したときにそれらの記事がヒットするようにするなど、言葉にもこだわっています。

 

2月半ばにはアレルギー週間という啓発期間があったのですが、それにあわせて発信したところ、取材をしたいというメディアさんから声がかかったりもしました。

 

▼CAN EATのプレスリリース一覧

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/46724

 

現場に通い、使う人のことを徹底的にイメージ

━━今の仕事におけるこだわりは?

使う人のことを徹底的に、ちゃんとイメージする」これに尽きます。飲食店の経営者に直接話を聞きに行ったり、現場に足を運んで教えてもらったりして、現場にどんな課題があって、どんなものが必要とされているのか、日々研究しています。最近は惣菜屋さんの視察に行き、商品を出したり原材料を記載したシールを貼ったりするところから教えていただきました。

 

人手でやっていることをシステムに置き換えるわけですから、「うわあ、楽だなあ」と心の底から驚いてもらえるようなインパクトのあるものを実現しなければ、ITでやる意味がないと思っています。そのためには、使うシーンをイメージすることが欠かせません。

 

すべての人が気兼ねなく外食ができるいい街へ。新たな事業にも意欲

━━これからのビジョンは?

まずは、あらゆる飲食店が大きな負荷をかけずにアレルギー対応に取り組める状態を実現し、お子さんがいる家庭も海外の方も気兼ねなく外食ができる街を作っていきたいです。

 

加えて、現在は味覚を分析するAIの開発にも力を入れており、食事嗜好の情報を婚活のマッチングに利用する取り組みも実施しました。集めた情報を活かしてより精度の高い味覚分析AIを作り出し、新しい事業にも挑戦していきたいですね。

 

自治体や教育委員会向けには、学校給食や保育園の給食におけるアレルギー対応をサポートする取り組みも行っていきたいと考えています。現在は、アレルギーのあるお子さんの情報を収集し、給食の内容と照らし合わせ、栄養素の計算もしながら代わりのメニューを考案するという流れになっており、非常に業務負荷が大きいようです。ここでITを上手く使い、ボタン一個でメニューができるようになれば、人手不足に対応できますし、正確性を保ってミスを減らすことにもつながります。

 

豊島区で起業を考えているみなさんへ

豊島区は名前のイメージと利便性のバランスが良いので、都内で起業したい人におすすめの土地です。一から頑張ろうとしているという新鮮な印象を与えますし、便利できれいな施設もあって快適ですよ。