ホテル・旅館・婚礼などの飲食提供事業者に食物アレルギー対応ITサービスを提供する株式会社CAN EAT(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:田ヶ原絵里、以下「CAN EAT」)は、一般財団法人KIBOW(東京都千代田区、代表理事:堀義人、以下KIBOW)が運営する「KIBOW社会投資ファンド3号」を引受先とした第三者割当増資を実施し、約5,000万円の資金調達を完了したことをお知らせいたします。
■資金調達の背景と目的
・食物アレルギーの現状と課題
食物アレルギーがある人の割合は増加傾向にあり、2022年度に行われたアレルギー疾患に関する疫学研究では、食物アレルギーの有病率が16.4%にのぼりました※1。アレルギーの種類も増加・複雑化しており、消費者庁が管轄する食品表示や食の安全に関する法令や制度は頻繁に改正が行われています。
一方、慢性的な人手不足で多様な人材が流動的に働く外食業界において、最新の制度や法令をキャッチアップしながら常に適切なアレルギー対応を行うことは容易ではありません。多岐にわたる食材のアレルゲンについて正確な情報を提供したり、ゲストによって種類もレベルも大きく異なるアレルギーにスムーズに対応したりするためには、現場スタッフの知識や教育体制、業務フローの確立が必要であり、アレルギー対応に積極的に取り組む企業は残念ながら一部に限られているのが現状です。
その結果、アレルギーがある方およびそのご家族は、外食時のアレルギー発症に対する不安感、安心して利用できる飲食店がなかなか見つからない不便さ、そして友人たちと共に食事を取れない孤立感などさまざまな苦痛を抱えています。こうした背景から、だれもがストレスなく自由に外食を楽しめる社会の実現が待ち望まれてきました。
※1『令和4年度 アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究』研究者代表 足立雄一氏(富山大学 学術研究部医学系小児科学)の調査資料より「(全年齢を合わせた既往を含む)有病率16.4%」https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/163448
・CAN EATの取り組みとその価値
現状を打開し「すべての人の食をおいしく・楽しく・健康的にする」ことをめざすべく、CAN EATは高度な専門性と最新のAI技術を駆使し、ホテル・旅館・婚礼などに対してアレルギー対応の効率化と事故防止を図るITサービスを提供してきました。
アレルギーの当事者団体の代表で飲食店にコンサルティングを行っているメンバーや、長年食品表示に携わる食品表示のプロフェッショナルなどが知恵を出し合い、現場のリアルな課題を把握しながら、飲食提供に関わるすべてのスタッフが正確でスムーズなアレルギー対応ができる仕組みづくりをサポートしています。
また、食物アレルギー対応の輪を全国に広げることを目的として、食物アレルギー患者とそのご家族のライフスタイルを改善するための調査・研究※2 や、飲食提供事業者にアレルギー対応の重要性や市場性を伝えるための講演や情報発信にも積極的に取り組んできました。
これらの取り組みをさらに加速させ、あらゆる体質の人々が自身のハンデによって疎外されたり、生きづらさを感じたりせず、ひとつのテーブルを囲んで楽しく食事ができる未来を実現するため、この度CAN EATの理念やサービスに共感し、ご期待を寄せてくださったKIBOW社会投資ファンドよりご支援いただく運びとなりました。
※2 参考: 食物アレルギーに関する外食実態調査 https://about.caneat.jp/news/20210217/
<CAN EATのめざすインパクトモデル>
■調達資金の主な使途
調達した資金を通じて、CAN EATは下記の2つの食物アレルギー対応ITサービスの新機能追加や、新サービス提供に向けたシステム開発、営業基盤の確立をめざします。また社外取締役として、株式会社グロービスにてディレクターを務める中村剛が経営に参画します。
1.アレルギー管理サービス
スマートフォンで原材料ラベルを撮影したり、原材料情報が記載された書類を仕入先にアップロードしてもらったりするだけで、メニューのアレルギー情報を簡単に把握・検索できる飲食提供事業者向けアプリサービスです。個人の飲食店から中小規模のチェーン店、有名ホテル・旅館等の宿泊施設にいたるまで、幅広い事業者の皆様にご活用いただいています。
アレルギー当事者が店選びで最も重視する「正確な原材料表示」を、独自のAI技術でスムーズに作成。AIを実装することで食品表示データの読み込みの完成度を上げつつ、過去に蓄積したデータとの照合や専門家のチェックを行うことで精度の高い判定を実現しました。メニュー表やWebページに掲載したり、ビュッフェカードを印刷して店内に掲示したり、QRコード経由でゲストに公開したりと、さまざまな形式でご活用いただけます。
サービス紹介URL:https://biz.caneat.jp/allergenlist/
2.アレルギーヒアリングシステム
婚礼や宴会、修学旅行のゲストにQRコードを配布するだけで、正確なアレルギー情報を直接把握できるWebサービスです。ゲストとスタッフ間のコミュニケーションを円滑化し、アレルギー事故のリスクを低減します。八芳園をはじめとするホテル・レストランの婚礼や宴会、修学旅行などさまざまなシーンでご活用いただき、2024年7月には利用ユーザー数が延べ60万人を突破しました。
ゲストの出欠情報も同時に登録できる機能や、修学旅行など教育旅行で児童生徒の詳細なアレルギー情報とクラス・番号を紐づける「クラス・番号入力プラン」など、便利な機能も続々搭載。既存の配席表システムやWeb招待状サービスと連携し、店舗の業務フローに適した形でご利用いただくことも可能です。サービス利用時においてアレルギー事故が発生した場合に治療費や見舞金を補償する保険が附帯しており、安心してご利用いただけます。
サービス紹介URL:https://biz.caneat.jp/allergyhearing/
■一般財団法人KIBOW インベストメント・プロフェッショナル 東樹敏明 氏コメント
CAN EATは、日本の多くの方※3 が悩まれている食物アレルギー問題に対して外食産業や観光業の事業者にアレルギーに関するサービスを提供するというユニークなビジネスモデルを構築しています。今回の投資検討にあたり、CAN EAT社のサービスの利用者とも実際に面談しましたが、CAN EATのサービスを通じて安心して効率よく食事を提供できると、どの利用者も非常に喜んでいました。高い志の下にあつまった魅力的なメンバーにより、同社のビジネスが日本全体に広がり、アレルギーのある方が自由に食事を楽しめる社会が実現することを期待しています。
※3 『令和4年度 アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究』研究者代表 足立雄一氏(富山大学 学術研究部医学系小児科学)の調査資料より「(全年齢を合わせた既往を含む)有病率16.4%」https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/163448
■CAN EAT代表取締役CEO・田ヶ原コメント
世界を牽引する経営者を育成するグロービスのメンバーの皆さまが、社会のリターンと経済のリターンが両立することを信じて立ち上げたKIBOW社会投資ファンドより、この度ご支援をいただくこととなりました。食物アレルギーに代表される「多数派ではない当事者がすごく困っているにもかかわらず、解決されていない問題」が、経済的なリターンと両立する形で継続的かつ拡張的に社会全体で取り組まれていくこと、その成功事例をつくることが私たちの目標です。グロービスで教鞭を取る経営に精通した強力なパートナーに加わっていただき、その目標を達成できると確信いたしました。改めてチーム一丸となってこの課題に取り組んでまいります。
■KIBOWについて
東日本大震災の3日後に始動した救援・復興支援プロジェクト「Project KIBOW」は、「希望」と「Rainbow」から命名しました。長期的に被災地を支援していきたいという思いから、2012年2月に一般財団法人化し、以下の3つを軸に活動を展開しています。
1)「場」の提供(イベント)
被災地各地で、地域の復興を願う人たちが集まる「場」を作っています。地域の内外のリーダーたちが集まり、交流を生むイベントを定期的に開催しています。
2)寄付
これまで、約1400名以上の方々にご協力いただき集めた資金、約1億円を、被災地で活動しているNPOや各地のリーダー達に提供しています。
3)社会的インパクト投資(KIBOW社会投資)
被災地に限定せず、「社会を変える」志を持った社会起業家たちに投資し、事業の規模化を支援します。
■株式会社CAN EATについて
「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」をミッションに、食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT」はじめ、食物アレルギー当事者やアレルギー対応に取り組む外食事業者を支援するサービスの開発・運営を行っています。
会社名:株式会社CAN EAT(英語名:CAN EAT Inc.)
代表者:代表取締役社長 田ヶ原絵里
本社所在地:東京都新宿区天神町7番地11 No.14
設立:2019年4月1日
公式HP:https://about.caneat.jp
アレルギーヒアリングシステム:https://biz.caneat.jp/allergyhearing/
アレルギー管理サービス:https://biz.caneat.jp/allergenlist/