【調査リリース】 食物アレルギーがある家庭の約5割が「避難所に食べられるものがあるか不安」。自宅での備えには限界も
2021年01月06日
プレスリリース
食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT(キャンイート)」を開発・運営する株式会社CAN EAT(本社:東京都新宿区、代表取締役:田ヶ原絵里)は、NPO法人アレルギーっこパパの会と共同で、食物アレルギーと防災に関する実態調査(オンラインによるアンケート調査)を実施しました。その結果を公表いたします。
■調査結果のポイント
・食物アレルギーの人がいる家庭のうち、被災経験がない家庭の約8割がアレルギー対応食を備えており、特に子どもに食物アレルギーがある家庭は備えている割合が高かった(約88%)。一方、子どもに食物アレルギーがない家庭は、アレルギー対応食を備えていない割合が高かった(約64%)。
・アレルギー対応食を備えていない理由として「コストが高いから」という回答が多くみられた。低コストでより多くの人が食べられる防災食品が必要である。
・食物アレルギーの人がいる家庭の約半数が、被災した場合に「避難所に食べられるものがあるのか」不安に感じていた。
・「どのくらい備蓄したらよいのかわからない」「自分で備蓄しているが量が足りるか不安」という不安の声も多くみられた。備蓄に関する正しい情報の提供が必要である。
・特定原材料に該当しないアレルギーがある人が全体の約3割にのぼった。アレルギー対応食でも食べられない可能性がある人は多く、対策が必要である。
・子どもに食物アレルギーがある家庭では、子どもと親が別々の場所で被災した際の対応や、避難所でのアレルギーに対する知識不足・理解不足に不安を抱いている人が多かった。周囲の理解と支援が必要である。
■調査背景
地震や台風、豪雨や土砂災害など、自然災害が多い日本では、日ごろからの備えが欠かせません。しかし、食物アレルギーがある人やその家族は、アレルギー対応の非常食を備えなければならず、備蓄のためのコストや労力が非常に大きいという問題があります。
また、備蓄が底を尽きた場合は、避難所で提供されるものを食べることになりますが、食物アレルギーに対応した非常食が提供されるとは限りません。さらに、アレルギーの種類によっては、一般的なアレルギー対応食であっても食べられないケースもあります。
このような状況下において、食物アレルギーがある人やその家族はどのような備えをする必要があるのか。また、国や自治体、民間企業、周囲の人々はアレルギーがある人々に対してどのような支援をしていくべきなのか。
食物アレルギーがある人の防災に関する不安や悩み、災害時に発生しうる具体的な課題を明確にし、解決策を考えるため、アレルギーがある人を支援する取り組みを進めてきたCAN EATとNPO法人アレルギーっこパパの会が連携し、実態調査を行いました。
■調査概要
調査手法 :オンラインによるアンケート調査
調査期間 :2020年7月11日(月)〜10月31日(土)
調査対象者:CAN EAT及びアレルギーっこパパの会のSNSコミュニティ(twitter・facebook・LINE)
有効回答数:108件
■回答者属性
子どもがいる家庭が主な回答層で、アレルギー表示義務のある7大品目を中心に、さまざまなアレルギーが見られました。特定原材料に該当しないアレルギーがある人は全体の約3割にのぼりました。
<アレルゲン別人数>
<アレルギーのレベル感>
専用調理器具が必要:21
専用調理器具は不要:87
<被災経験の有無>
被災経験がある:14
被災経験はない:94
■アレルギー対応食を備えている家庭は約8割。備えていない家庭はコストの高さを理由に断念したケースが多い
「アレルギー対応食を備えていますか?」という質問に対し、84%の人が「備えている」と回答しました。特に子どもに食物アレルギーがある家庭は備えている割合が高く、9割近くにのぼりました。一方、子どもに食物アレルギーがない家庭は、6割以上がアレルギー対応食を備えていないことがわかりました。
また、アレルギー対応食を備えていないと回答した人に対し、その理由を尋ねたところ、「コストが高いから」という回答が多くみられました。
<アレルギー対応食を備えていない理由>
・高額なので買い渋ってしまいます。日々の食事でもアレルギー対応食の出費があるので、買い揃える余裕がありません。
・値段が高額であり、また住んでいる地域は災害が少ないため、後回しになっています。
■「避難所に食べられるものがあるかわからない」食物アレルギー当事者や家族が抱える不安
「食物アレルギー×防災で困っている・不安なことは何ですか?」という質問に対し、回答の内訳は下記グラフの通りとなりました。
1.避難所に食べられるものがあるか不安
災害時への備えや災害発生時のアレルギー対応について困っていることや不安なことを尋ねたところ、「避難所に食べられるものがあるか不安」という回答がもっとも多く、約半数を占めました。
避難所で配給される食事は食べられないだろうと考えている人も多く、そのため自分でアレルギー対応食を備えている人が多いのかもしれません。また、「自宅に用意してある備蓄を持ち出せなかったらどうしたらよいのか不安」という声も多くみられました。
<避難所に食べられるものがあるか不安と回答した人の声>
・自宅には防災食を備えていますが、災害時に自宅に入れない場合は、自治体にはほぼ期待できないと思っています。自治体に、アレルギー対応食の備蓄があるか確認してみたものの、アルファ米のみ(想定3日分)でした。全国どこでも、アレルギー対応食品を備蓄してほしいです。
・川沿いに建つ家なので、アレルギー対応の災害食を3日分ほど用意しています。ただ、アレルギーがあるのが我が子だけという小さな町に住んでいるため、「もしもの時には自分で用意したものしか食べられない可能性が高いのだろうな」と思うといつも不安になります。
・家に備えているアレルギー対応食を持って逃げられなかった場合には食べられるものがあるのか、とても不安です。小麦が食べられないので、保存期間が比較的長い菓子パンなどが食べられません。
2.どのくらいの量を備蓄したらいいかわからない
次に多くみられたのが、「どのくらいの量を備蓄したらよいのかわからない」「備蓄はしているが量が足りるかわからない」という回答でした。
消防庁の防災マニュアルでは、目安として最低3日間程度の水や食料品を備蓄すべきであるとされています。しかし、食物アレルギーがある人は配給されたものが食べられるとは限らないため、何日分を用意すれば足りるのか、不安が大きいようです。
(参考)消防庁 防災マニュアル
https://www.fdma.go.jp/relocation/bousai_manual/pre/preparation081.html
3.特定原材料以外のアレルギーがあり、食べられない非常食があるため不安
本調査では、アレルギー物質の表示義務が課せられる特定原材料に該当しないアレルギーがあるケースが全体の約3割を占めました。アレルギー対応とされる非常食でも食べられない場合があり、不安に感じている人が多いことがわかりました。
<特定原材料に該当しないアレルギーがある人の不安の声>
・食物アレルギーの品目が多岐にわたり、表示が義務化あるいは推奨されている28品目以外もあるため、アレルギー対応として紹介される非常食にも食べられないものがあることが不安です(例:アーモンド入りクッキー、大麦入りご飯など)。
・アレルゲンを完全に除去した非常食を用意するのが難しいです。
・避難所で配られる食品は食べられないものが多いようなので不安です。
■「食物アレルギーに対する知識不足や無理解が心配」子どもにアレルギーがある人が抱える不安
子どもに食物アレルギーがあるケースでは、避難所での食事や備蓄に関する不安のほか、子どもと別々の場所で被災した際の対応や、避難所での周囲のアレルギーに対する知識・理解不足に関して不安を抱いている人が多いことがわかりました。
<子どもに食物アレルギーがある人の不安の声>
・アレルギーに関する知識が乏しい人に「取り除くだけで大丈夫」「我慢すれば食べられる」などと言われて子どもがアレルギー物質を摂取してしまわないか心配です。
・家庭のアレルギー対応食の備蓄にも限界があるため、避難所で長い期間を過ごさなければならない場合が不安です。特に、アレルギーを理解しようとしない人から攻撃されないか心配です。子どもの安全も守らければなりませんが、心も守らなければなりません。一番怖いのは人だと思います。
・子どもが小さく、もしものときに自分で判断ができないので、誤食してしまわないか不安です。
・被災した際に子どもと一緒に行動できれば備蓄している食べ物で対処できますが、離れ離れになってしまった場合を考えると不安でしかありません。
■自助的な備えにも限界が。食物アレルギー当事者への理解と支援が急務
被災地の食物アレルギーがある家庭の状況をヒアリングすると、今回の調査で多くの回答者が不安に感じていたように、「避難所で食べられるものが少ない」「食物アレルギーに対する理解が浅い」といった理由で困るケースが実際にみられます。
日ごろから自助的に備えることは大切ですが、被災地では、自力での備えにも限界があります。食物アレルギーへの無理解や、アレルギー当事者の孤立によって起きる二次的ともいえる被害をどう防ぐのか、どう支援していくのかが大きな課題です。
■株式会社CAN EATについて
「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」をミッションに、食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT」はじめ、食物アレルギー当事者やアレルギー対応に取り組む外食事業者を支援するサービスの開発・運営を行っています。
会社名:株式会社CAN EAT(英語名:CAN EAT Inc.)
代表者:代表取締役社長 田ヶ原絵里
本社所在地:東京都新宿区天神町7番地11 No.14
設立:2019年4月1日
公式HP:https://about.caneat.jp
サービス:食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT」:https://caneat.jp
アレルギー表作成代行サービス:https://biz.caneat.jp/allergenlist/
アレルギーヒアリングシステム:https://biz.caneat.jp/allergyhearing/
サービスに関するお問い合わせ info@caneat.jp