えび・かにを中心とする甲殻類のアレルギーは、小学生以降に増える傾向があり、成人ではもっとも多いアレルギーのひとつです。しばしば重症なアナフィラキシーを引き起こし、症例も多いことから、えびとかには原材料のアレルギー表示が義務づけられています。
えび・かにをはじめとする甲殻類のアレルギーは小学生以降、成人になるにつれて増えていきます。卵・乳・小麦の三大アレルギーが子どもに多く、大人になるにつれて改善するケースもみられる一方で、えび・かにのアレルギーは大人になっても治るケースが比較的少ないといわれています。
甲殻類アレルギーの症状は、蕁麻疹や呼吸困難,まぶたの腫れ、嘔吐、喉のかゆみなどさまざまです。重症になるとアナフィラキシーショックが起こる頻度が他の食品に比べて高いため、原材料のチェックは念入りにおこないましょう。
甲殻類には共通するタンパク質があるため、えびとかにの両方、さらには甲殻類全般でアレルギーを発症する人もいます。甲殻類アレルギーの原因物質である「トロポミオシン」はいかやたこ、貝類にも含まれており、人によっては反応することがあるため注意が必要です。
一方で、えびだけ、あるいはかにだけのアレルギーの人や、甲骨類には反応しても軟体類や貝類には反応しない人もたくさんいるため、すべてを排除する必要はありません。血液検査や食物経口負荷試験といったアレルギー検査を受け、細かく調べておくと食事の幅が広がります。
えびは料理だけでなく調味料や菓子にも使用される食品です。中華・エスニック調味料、ふりかけなど、一見使用しているかどうかわからない加工食品もあるため、原材料をしっかりと確認しましょう。
かには、えびほどさまざまな食品に使用されている食品ではありませんが、中華料理や韓国料理の材料としてよく使われています。
また、えびもかにも、しらすや海苔の採取時に紛れ込んでしまう場合があるため意図しない混入に注意してください。かには貝類に生息していることもあります。
えびとかには「特定原材料」としてアレルギー表示の対象品目に指定されており、表示が義務づけられています。えびにはいせえび・うちわえび・ざりがに類が含まれますが、しゃこ類、あみ類、おきあみ類は含まれません。
キムチなどに含まれる「あみ」は表示対象ではありませんが、あみにも反応する人がいるため、あみ類が使用された加工食品にも注意が必要です。
甲骨類のアレルギーは重篤なアナフィラキシーショックにつながることがあります。調理時には第一に原材料の確認を忘れないように心がけましょう。また、えび・かには揚げ物にも使われることがあります。調理の際は、揚げ油の共有によるコンタミネーション(意図しない混入)に注意してください。
えび・かにのアレルギーでは、下記のようなヒヤリハット事例があります。調理前の原材料確認から調理方法・提供時のメニュー確認までを念入りにおこなうことで、リスクを予防し、対処していきましょう。
<ヒヤリハット事例>
・キムチのアミを見落として提供してしまった
・エビを切った包丁を洗浄せず使用し、エビ成分が付着した刺身を提供し発症した
・カニを使っていないシュウマイを提供するつもりだったが、間違えてカニ入りシュウマイを提供してしまった
<アレルギー辞書一覧>
<参考文献>
食物アレルギー、ベジタリアン、ヴィーガン、健康上の理由などの
お食事制限にスマートに対応する3つのツール