新型コロナウィルスの拡大により、人々のライフスタイルや価値観は大きく変容しました。外食ではソーシャルディスタンスを保った空間での食事やテイクアウトが選ばれるようになり、ホテルやレストラン、ウェディング業界も大きな転換期を迎えています。ビュッフェスタイルを採用していた飲食店の多くは、感染対策のため個別提供食へと転換しました。そこで増加しているのが、食物アレルギーがあるゲストへの対応です。
アレルギー対応の重要性が高まるなか、外食やウェディング業界はどのように事故を防止し、顧客の満足度を高めていけばいいのか。数々のヒアリングによってみえてきたアレルギー対応の課題と、課題解決のために株式会社CAN EATが取り組んできたことをご紹介します。
近年、食物アレルギーは多様化・増加傾向にあります。また、2019年9月には表示対象にアーモンドが追加されたり、2020年4月には新食品表示法が施行されたりと、食物アレルギーをとりまく環境も変化が激しい状況です。ゲストの食物アレルギーに的確に対応するためには、スタッフが最新の知識をしっかりと身につける必要があります。
しかし、急速な変化についていくのはそう簡単ではありません。人手不足の影響でスタッフを教育する余裕がない飲食店も多く、マネージャークラスに対しては食物アレルギーに関する教育・指導ができても、アルバイトスタッフにまで広げるのは難しいのが現状。
アレルギー対応についてよく知らないスタッフが、マヨネーズやウィンナー、ハムの卵成分など目に見えないアレルゲン入りの加工品がメニューに使用されていることに気づかず、ゲストへの説明を誤ったり、間違えて提供したりする事故が後を絶ちません。
食物アレルギー対応が欠かせない会食の筆頭は、結婚披露宴。一般的に、婚礼における食物アレルギー対応は、(1)新郎新婦が招待状を送付→(2)ゲストがアレルギーがある品目を記入して返送→(3)新郎新婦とプランナーとの打ち合わせの場で初めてゲストのアレルギー情報を確認→(4)新郎新婦を介し、式場側がゲストのアレルギーについてさらに詳しくヒアリング→(5)メニューを調整・決定する、という流れで進められます。
食物アレルギーに関するやりとりは各社が独自のフォーマットを用いてアナログで行っており、打ち合わせ後にプランナーが情報を整理したり、何度もメッセージをやりとりしたりと、式場側と新郎新婦側の双方にとって大きな負担が生じている状況です。新郎新婦が期限内にゲストにヒアリングできなかったために、当日の確認となってしまい、事故リスクを高めてしまうケースもしばしば見受けられます。
会場によっては、キッチンが知りたい情報をスムーズにとりまとめられるかどうかがプランナーや営業のスキルに依存しているケースも。アレルギー事故の大きな原因である「コミュニケーション不足」の状態に陥れば、顧客・プランナー・調理スタッフ間での伝達ミスやとりまとめ業務の遅延につながります。
このように、食物アレルギー対応を確実に行うためには「正しい知識」と「スムーズなコミュニケーション」が必須ですが、スタッフ教育やコミュニケーションに大きなコストがかかるため、対策のハードルが高く、より正確で効率的な方法が求められてきました。
こうした課題を解決すべく、私たちCAN EATは、さまざまなホテルやレストラン、飲食店からのヒアリング結果をもとに、専門家と協力しながら、事故防止のための取り組みを進めてきました。
ゲストのアレルギー情報をクラウド上で簡単にとりまとめられるアレルギー事故防止サービス「CAN EAT」を開発・運営しています。URLやQLコードをゲストに共有し、自動的に表示される質問に回答してもらうだけで、詳細な情報まで整理された状態で確認できるサービスです。
品目だけでなく、専用調理器具の要不要や、調味料に含まれる成分が大丈夫かどうかといった細かい情報まで一括でとりまとめ、あらかじめプランナーやキッチンサイドで確認できるため、従来のように何度もやりとりをする必要がありません。婚礼においては、打ち合わせの回数を減らすことにもつながるため、対面での打ち合わせを不安に感じるお客様が多いコロナ禍のニーズにも合致しています。
本サービスを導入している式場からは、「以前は打ち合わせ時に初めてアレルギーに関する情報を確認し、それから対応を考えていたが、サービスを利用すると打ち合わせ時にはすでに情報のとりまとめが完了し、式場側から料理の内容をご提示できる状態になるため、業務が大幅に効率化されている」との感想をいただいております。
また、CAN EATのアレルギー事故防止サービスには、スタッフの教育に役立つ「アレルギー対応ヒヤリ・ハット辞書」を装備しています。これは、事前にとりまとめた結果に基づき、事故事例を閲覧できる機能です。
印刷して朝会などでスタッフ全員で確認することで、必要な知識をその場でインプットしたり、お料理が出てくるカウンター「デシャップ」に料理が出てきた際にインプットした内容を思い出すことで、「あれ、何か変だな」「大丈夫かな」と確認するきっかけになったり。スタッフ全員の意識を高め、アレルギー事故を防ぎます。
食物アレルギーに関する課題やニーズを具体的に把握するとともに、より多くの人にアレルギー対応へ関心を持ってもらうため、NPO法人アレルギーっこパパの会と合同で、食物アレルギーに関する実態調査を行っています。
第一弾は「食物アレルギー×テイクアウト」、第二弾は「食物アレルギー×給食」というテーマで調査を行い、調査結果をプレスリリースとして公表しました。現在は第三弾として「食物アレルギー×防災」というテーマでアンケート調査を実施中です。
これらの調査結果を事業やサービスの開発・改善に生かすとともに、食物アレルギー当事者の困りごとを世の中に発信しながら、飲食店と当事者の双方にとってよりよい社会をつくっていきたいと考えています。
<これまでの調査リリース>
第一弾:食物アレルギー×テイクアウトに関する実態調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000046724.html
第二弾:食物アレルギー×給食に関する実態調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000046724.html
<現在実施中の調査>
食物アレルギー×防災に関する意識調査
https://form.run/@info-1594363740
より多くの人に食物アレルギー対応の重要性や事故防止対策について理解を深めていただくため、全国各地で積極的に講演会やセミナーに登壇し、啓発活動を行っています。2020年8月には、宮城大学で講義も行いました。
<写真:八芳園主催「ONLINE WEDDING ShowroomつながりのRe Design LIVE配信セミナー」での一幕>
また、食にまつわる困難を抱えている方々をサポートするため、食物アレルギーのある子どもたちが集まるイベントのサポーターを務めるなど、社会活動にも力を入れています。
食の分野でさまざまな事情を抱えた人が生活しやすい社会をつくる一助となれるように、今後も積極的に活動してまいります。
これからもCAN EATは、「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」ため、飲食店のスタッフが手間とストレスなく食事制限に対応できるような自動化の仕組みを開発してまいります。
アレルギー事故防止サービス「CAN EAT」に加え、新規事業として、加工品の原材料欄をスマートフォンで撮影しCAN EATに送付するだけでアレルゲン一覧表を作成する「アレルゲン一覧表作成代行サービス」も開始しました。
顧客一人ひとりの食事制限に対応した食事を安全かつ確実に提供できる環境を整えることは、顧客の信頼獲得につながり、大きな強みになります。コロナ禍でも選ばれ続けるお店であるためのひとつの方法として、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」をミッションに、食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT」はじめ、食物アレルギー当事者やアレルギー対応に取り組む外食事業者を支援するサービスの開発・運営を行っています。
会社名:株式会社CAN EAT(英語名:CAN EAT Inc.)
代表者:代表取締役社長 田ヶ原絵里
本社所在地:東京都新宿区天神町7番地11 No.14
設立:2019年4月1日
公式HP:https://about.caneat.jp
サービス:食べられないものがある人の外食を救うサービス「CAN EAT」:https://caneat.jp
アレルギー表作成代行サービス:https://biz.caneat.jp/allergenlist/
アレルギーヒアリングシステム:https://biz.caneat.jp/allergyhearing/
サービスに関するお問い合わせ:info@caneat.jp