保育園や幼稚園のアレルギー対応への感想・意見
<保育園や幼稚園のアレルギー対応に「満足している」または「やや満足している」と回答した人の声>
・年に何度か園長先生、担任の先生、栄養士さん、調理師さんとの面談があり、その都度アレルギー状況を確認してくださるので安心できます。
・3大アレルゲン完全除去の子どもがいますが、なるべくみんなと同じもの、似たものを食べられるようにメニューを考えてくださるのでとても感謝しています。
・安全はもちろん、子どもの気持ちも考えた配慮をしてもらえるのでありがたく思っています。
・除去食や代替食を出していただいています。入園料当初はなかったアレルゲン不使用のメニューを取り入れたり、材料を不使用のものに変更して食べられるものを増やしたりと、工夫してくださっています。
・小麦アレルギーです。持参はパンのみで、麺類・おかず・おやつはすべて代替食を作っていただけているので恵まれていると思います。
<保育園や幼稚園のアレルギー対応が「不満である」または「やや不満である」と回答した人の声>
・食物アレルギーへの認識が甘く、園全体としてどのような方針で対応をしているのかがわからないので、いつも不安に感じています。
・詳しい献立表が配られないので不安です。
・代替食を持たせています。すべて保護者任せで、主体的な対策をとってもらえないところに少々不満を感じています。
・豆まき・サンドイッチ作り・もちつき・宿泊行事・クッキー作りなどのイベントは、参加しない(欠席)という選択肢しかないのが悲しいです。参加できるように方法を工夫していただけたらうれしいなと思っています。
・アレルギー除去食にしてもらっていますが、他の子の給食との差が気になるので、代替食にも対応してもらえたらうれしいです。
学校給食のアレルギー対応への感想・意見
<学校給食のアレルギー対応に「満足している」または「やや満足している」と回答した人の声>
・担任の先生や栄養士さんと何度も面談の機会があり、アレルギー対応について一緒に考えてもらえました。
・可能な範囲で除去し、代替食を準備してくれる他、コストが上がるにもかかわらずハムなどの加工品にアレルゲンが入っていないものを採用してくれています。
・月間の献立表のほか、献立ごとの使用する材料(食材、調味料、既製品使用の場合は別資料でその原材料表示)についてアレルギー表示をわかりやすく提示してもらえるので助かっています。
・全生徒のカレーを米粉でつくるなど、なるべく代替をしなくてよい給食にしていただいているので、みんなと同じ給食を食べることができています。
・マルチアレルギーですが、栄養士さんがきちんと子どものアレルギーを把握し、こまめにアップデートしてくれるので安心できます。
<学校給食のアレルギー対応が「不満である」または「やや不満である」と回答した人の声>
・共同の給食センターのため、除去対応してもらえません。アレルゲンの飛散が怖いので、別室で食べるように言われました。
・栄養教諭にアレルギーについての知識・理解がなく、アレルギーの子どもの気持ちに寄り添おうとする姿勢が見えません。
・メニューにひとつでも食べられないものが入っているとその日はお弁当を持参することになってしまうので、もっと柔軟に対応してもらえたらいいなと思います。
・食べられるものが少なくても給食費を満額支払わなければならないところに不満を感じています。学校全体でアレルギー対応が増えている現状があるので、減免制度を整備してほしいです。
・保育園では細やかな除去対応でしたが、小学校では毎日弁当を持参することになりました。安全性を優先した判断で納得していますが、除去対応が牛乳と卵のみと決められているなど柔軟性がないので、個別に対応していただけたらありがたいです。
・除去対応はしてもらえますが、代替食はなく、持ち込みも許可してもらえません。他の子の給食と明らかに違っている日も多いので、かわいそうに感じています。
施設によって差が大きい園・学校給食のアレルギー対応。情報提供やヒアリングを通した主体的なサポートが重要
現在、園・学校の一般的なアレルギー対応は、①面談を通した情報確認→②給食の献立内容の確認→③食べられるものと食べられないものを選別→④食べられないものがある日は「食べられないものを除去する」or「代替食を持ち込む」or「代替食が提供される」というフローになっています。
代替食が出るところでは、普通の給食となるべく差異が出ないよう工夫している施設が増えていますが、一方で、コストや栄養の観点から給食内容の変更ができず、除去のみの対応としているところもあります。代替食の持ち込みが可能なケースもありますが、衛生管理の問題から持ち込めないケースもしばしば見受けられました。アンケートでは、給食費用を分割することができず、食べられないものが多い給食の費用を満額払うことへの不満も散見されました。
アレルギーがあるお子さんのいる保護者の立場では、施設側が実施可能な安全対策の範囲内で、どのように折り合いをつけていくかが重要なポイントになりますが、情報提供が少なく、保護者側のみに対応が委ねられているケースでは不安が蓄積しやすいと考えられます。
「担任の先生や栄養士との話し合いの機会を何度ももうけてくれた」「マルチアレルギーだが、栄養士さんがきちんと子どものアレルギーを把握し、こまめにアップデートしてくれる」という声からもわかるように、安全第一の対応を最優先として、情報提供に加え、当事者および本人の気持ちや希望を聞いて一緒に考えることができる保健室の先生や栄養士の存在が重要です。
コスト・栄養価・おいしさを両立させた「低アレルゲン献立」を実現。箕面市の学校給食の秘密
アンケートでは、「アレルギーがある子どもがみんなで食べられる給食が箕面市にある」という情報が複数件寄せられました。大阪府箕面市は、平成31年1月より、全献立において卵、牛乳・乳製品、小麦・小麦製品、えび、かに、そば、落花生(特定原材料7品目)を調理に使用しない「低アレルゲン献立」を実施しています。
アレルギー対応の大きな課題は、「コスト・栄養価・おいしさ」です。箕面市では、これらを両立させるため、各学校の栄養士や調理員が幾度も試作を重ね、献立をつくりあげています。
これまで実現不可能のように思われてきた課題と向き合い、できるだけ多くの子どもが食べられる献立の実施を成功させたひとつのイノベーション事例として、さまざまな自治体のお手本となる存在です。
<箕面市で5年以上、管理栄養士として学校給食に携わってきた白井さんのお話>
箕面市では、市長と教育委員会が一丸となり、「人命優先」を前提として「多くの子どもが共通して食べられる献立が学校給食として最良である」という考えのもと、「低アレルゲン献立」を実施しています。
『コスト・栄養価・おいしさ』のすべてにおいて、従来の給食と変わらないクオリティーのものを提供できるよう、栄養士や調理員が試作研究を重ねてきました。
たとえば、栄養面では、牛乳や乳製品を調理に使用しないことによるカルシウム不足を補うため、大豆、ごま、緑黄色野菜、小魚を活用した献立を構成し、一方で、大豆やごまのアレルギーの子どもの除去率が上がってしまうため、保護者の負担を減らすべく、週のうちで使える日数を規定しています。料理のコクや香ばしさを維持するため、調理方法にもさまざまな工夫を取り入れています。
一人でも多くの子どもが給食の時間を今以上に楽しめる環境を整備できるよう、これからもよりおいしく、子どもたちに喜んでもらえる「低アレルゲン献立」の開発に取り組んでいきたいです。
<箕面市の「低アレルゲン献立」について(箕面市公式HP)>