【味覚研究ラボ#3】レストランで「自分専用の味付け」を楽しもう

CAN EATとカゴメ株式会社がコラボし、人の味覚や新しい食の楽しみ方に関する研究を続けている「味覚研究ラボ」。味覚研究ラボのメンバーがさまざまな食の楽しみ方を探っていくコラムの第3回は、レストランのコース料理に関する検証です。

<紹介してくれた人>
味覚研究ラボ員 徳川さん

 

過去の2回のコラムを通じ、カップ焼きそばとめんつゆに対し、その人にぴったりな味付けにできないかを検証してきました。

 

検証の結果、好みの味の濃さは人によって異なり、細かくカスタマイズすればもっとおいしく楽しい食事につながること、味覚研究ラボで開発中の味覚嗜好測定キットを通じて好みを測定すれば、事前に好みを知ってその濃さに近づけられることがわかりました。

 

今回は、焼きそばやめんつゆなどのいわゆる内食から幅を広げ、味覚嗜好測定キットを外食に応用することができないか検証しました。レストランのシェフにご協力いただき、好みの味付けに調整されたコース料理を楽しむ試みです。

 

※味覚嗜好測定キットとは、味付けの異なる複数のポップコーンを食べて好みを入力するだけで、独自アルゴリズムにより「自分の好みの味の濃さ」が測定できるキットです。前回のカップ焼きそばめんつゆに関するコラムでも使用しました。

 

■いざ検証!レストランのコースはどのように変身するのか


今回ご協力いただいたのは、筆者がいつもお世話になっているシェフの奥田さん。普段は「ナスシオバルウニコ」というレストランを運営しており、イタリアンを中心に創意工夫に富んだ料理を生み出すプロフェッショナルです。

 

今回の検証について相談したところ、「面白そうな取り組みですね。料理人として腕がなります」と前向きにご協力いただける運びとなりました。

<ご協力いただいた「ナスシオバルウニコ」の奥田シェフ>

 

コースの試食に協力してくれたのは筆者の同僚のIさんとTさん。味覚嗜好測定キットによる判定は「Iさんは濃い味好き」と「Tさんは薄い味好き」で、味の好みは正反対の仲良しペアです。

今回は二人の好みの味の濃さをあらかじめ奥田シェフに伝えておき、コースのメニューの味付けを調整していただきました。

 

メニューはこちら。どれもこれも美味しそうですが、これらがさらに自分好みの味付けになるなんてわくわくしますね。贅沢な体験ではないでしょうか。

食事が始まると、お互い料理の違いを探したり、濃い味好き・薄味好きにまつわるエピソードを語り合ったりと、会話が盛り上がりました。料理の見た目や味わいを意識しながら食べ進めていて、食事を心から楽しんでいる様子です。

 

■実施後のインタビュー:参加者、シェフの感想は?

 

━━自分の好みの味付けにしたディナーコースを体験いただきましたが、いかがでしたか?
Iさん「おいしく楽しく食事ができました!もともとの素材からおいしかったですが、自分に合わせてもらっている特別感があり、普段より”味わう”ことを楽しめました。

Tさん「あらかじめ取り分けたものを食べ比べてみて、違いは明確でしたね。自分の好みの味付けに寄っていたのでよかったです。」

━━今回のディナーコース、機会があればまた使ってみたいと思いますか?
Tさん「特別な日のディナーなら少し値段が上がっても使いたいなと思います。」

 

続いて、シェフの奥田さんにも感想をお伺いしました。


━━新しい試みでしたがいかがでしたか?
奥田さん「純粋に楽しかったですね、提供する際に料理の単純な説明だけでなく味付けの説明もできたので、お客さんからのリアクションもあり、会話につながったことが楽しかったです。また、お客さんのコメントから勉強になることや気づきを得られたのが印象的でした」

 

━━味の濃さの好みに合わせて料理を作る際、どのようなことを意識されましたか?
奥田さん「旬の食材を使いながら、どのように好みに合わせていくかを考えました。濃い味が好きな方は単純に塩を多く振ればいいわけではないと思うので、どうやったらコクなどのベースの味付けを強くできるか工夫しました

 

━━具体的にはどのような工夫をしていただいたのでしょうか?
奥田さん「基本的には味のベースとなる塩分量を調整しました。例えばメインのお肉は塩1%がセオリーと言われていますが、濃い味好きの方には気持ち多めに加えました。濃い味好きの方の魚料理には粗い塩を振ることで、嚙んだ時に塩の味をダイレクトに感じられるよう工夫しました。塩以外では濃い味好きの方向けにソースのバターの量、振りかけるチーズ量を多くすることで料理のコクを追加するようにしましたね」

 

■検証を終えて

今回の検証は、シェフ、参加者ともに満足度の高い体験になりました。今後、このような自分にぴったりの味付けを外食に取り入れられる時代になれば、食の楽しみ方が増え、今まで以上に食事の時間が楽しくなりそうですね。

 

※味覚嗜好測定キットとは?


味覚開発ラボで開発中の味覚嗜好測定キットは、塩味の異なる5種のポップコーンを食べ、好き嫌いを評価するだけで自分の好みの味の濃さの嗜好性が把握できるツールです。

 

これを使うことで自分の味の好みを知り、よりマッチした調理や外食につなげることができます。

 

今は販売していませんが、いずれ実用化できるように、引き続き研究を進めていきます。

 

▼次の記事はこちら

【味覚研究ラボ#4】サッポロ一番塩ラーメンで実験!自分好みの味の濃さを知って健康的で楽しい食卓につなげよう

 

<味覚研究ラボの記事一覧>

【味覚研究ラボ#1】 カップ焼きそばが一番おいしくなるソースの量は?味の濃さの好みを知って、食事をもっと楽しもう

【味覚研究ラボ#2】味の濃さの好みを測って自分専用の「つゆの薄め方」を見つけよう

【味覚研究ラボ#3】レストランで「自分専用の味付け」を楽しもう

【味覚研究ラボ#4】サッポロ一番塩ラーメンで実験!自分好みの味の濃さを知って健康的で楽しい食卓につなげよう

【味覚研究ラボ#5】好みの味の濃さを知れば少し幸せになれるかも?実際の声を聴いてみよう

 

 

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