「ウリ科アレルギー」は、かぼちゃ、きゅうり、メロンなどのウリ科の食べ物を食べることによって発症するアレルギーです。主に口の中のかゆみ、唇・舌・のどの腫れや違和感、目の痒み、鼻症状などを引き起こします。専門用語でいえば「口腔アレルギー症候群」に該当する症状です。
これらの症状は軽度な場合がほとんどですが、ときには全身のじんましんや咳、下痢、まれにアナフィラキシーや呼吸困難といった重篤な症状があらわれるケースもあります。
ウリ科の野菜や果物を食べて違和感を覚えた場合は、できるだけその食材を避けるように心がけ、必要に応じて内科や耳鼻科などの病院を受診して医師の判断を仰ぎましょう。万が一重篤な症状が起こった場合は、すみやかに治療を受けてください。
なお、ジャムやソース、ジュースなど加熱・加工処理をしたものなら食べられる人もいますが、個人差があります。自分ひとりで判断せず、医師に相談しましょう。
ウリ科に属する主な食べ物は以下のとおりです。同じ科に属しておりアレルゲンの構造が似ているので、どれかひとつの食べ物で症状が出た場合には、他の食べ物にも注意するとよいでしょう。
<野菜>
南瓜(カボチャ)、胡瓜(キュウリ)、ズッキーニ、越瓜(シロウリ)、冬瓜(トウガン)、苦瓜(ニガウリ=ゴーヤ)、隼人瓜(ハヤトウリ)、糸瓜(ヘチマ)、甜瓜(マクワウリ)
<果物>
メロン スイカ
<その他>
ユウガオ(かんぴょうの原料)
ちなみに、アレルギー表示の推奨品目である「キウイフルーツ」はマタタビ科、「オレンジ」はミカン科に属しています。果物や野菜を食べてアレルギーが出た場合は、どの科に属しているか調べ、同じ科に属する食べ物には特に注意するように心がけてください。
なお、弊社の「アレルギーヒアリングシステム」を利用して婚礼の際に申請されたアレルギー品目では、ウリ科のメロンが全体の6位となりました(2022年11月時点)。
メロンをはじめ、ウリ科の食材はアレルギーの表示義務のある「特定原材料」や表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」に指定されていませんが、アレルギーがあると感じている人は比較的多い食材なので、料理の提供者は十分注意するように心がけましょう。
果物や野菜と植物の花粉は似たアレルゲン構造を持っているものが多いため、近年は花粉症と同時に果物や野菜のアレルギーが引き起こされ、悪化するケースが増えています。発症する人の年齢層は幅広く、成人になってからも発症する人もいます。
メロンやスイカなどウリ科の食材も、キク科のブタクサやイネ科のカモガヤ・ハルガヤなどの雑草と同じプロフィリンというタンパク質が含まれ、アレルゲンの構造がよく似ているため、これらの植物の花粉症がある人は、ウリ科のアレルギーも発症する可能性が高いと考えられます。花粉症の人で、メロンやスイカを食べたときに口の中のかゆみやイガイガを感じたことがある人は、アレルギーが疑われるかもしれません。
他にもカバノキ科のシラカンバとバラ科の果物・野菜など、花粉と共通のタンパク質を有する果物・野菜はいくつも存在します。花粉症がある人は果物・野菜のアレルギーがある可能性にも考慮しながら食事をとるように心がけるとよいでしょう。
ウリ科アレルギーは、生の果物や野菜を食べて引き起こされるケースが多いため、食材を加熱・加工処理を行うことによって食べられる人もいますが、アレルギーの程度によって必要な加熱・加工の程度も異なります。
ジュースやジャム、ジュレ、シャーベットなどであっても症状を引き起こす可能性があるため、必要な加熱・加工処理や食べられる量についてゲストから正確な情報をヒアリングし、アレルギー事故を防止しましょう。
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